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時間があいてしまいましたが、今日は画材屋さんのはなし。
・・突然ですが、「ぬりかべ」みたいなたてもの、どう思いますか? 「壁」は間違いなく建築でしょう。柱とともに建築を構成する2大要素であるんだから。 では、壁が一枚だけだったら? これでは「空間」は成立させられません。 人間が内部に入って活動するための場所が建物という空間であるとするならば、壁一枚の「ぬりかべ」には残念ながらその能力がないからです。 空間を創出しない、建築的な壁・・これにはどういう意味があるのでしょうか。 ----------------------------------------------------------- 神田の神保町に文房堂という老舗の画材屋さんがあります。創業は1887年で、日本で初めて油絵具を製造・販売した歴史を持っています。 この建物を見に行ったのは(ノートを買いに行ったのではもちろんなく)、ファサードの保存がされていることを知ったことがきっかけです。 現在の建物のもとになる旧文房堂ビルが鉄筋コンクリート造の3階建てで建てられたのは1922年のこと。翌23年の関東大震災で全焼しますが、修復され、1929年には鉄骨を補強する大修繕が行われました。 ふんふん。 しかし1980年代には竣工後70年近く経っていることと、コンクリートの強度の低下が著しいことから解体が決まり、ファサードの外壁のみが残されることになりました。 ほうほう。 で、見てきました。 ファサードはレンガ色でやさしい雰囲気、街並みに馴染みすぎている建物です。(あやうく通り過ぎてしまうとこでした・・だって目の高さにはセールワゴンが飛び込んでくるんだもん・・・!) ハタと気がついて足を止めて、ぐわーっと見上げる。 「あーあー、あった。」 てそんな感じです。 幾何学の模様が特徴のアール・デコ風デザイン。 2連になった窓の間は、凸面をつけた上にレンガをリズミカルに配置し、壁面を表情豊かにしています。 風格というよりも、ちょっと下町の貫禄というか、そんな感じ。 最上部のベルト部分もかっこいい。勲章のようにも見える・・。 セットバックして、上に延びている白っぽいのが新しいビル。 その新ビルの前に、このファサードが一枚、張り付いているというわけなのです。 では、失礼してわき腹を拝見。 よいしょっと。 分かりずらいですね。 隣りもびっちりとビルが建っているので、覗きこんでもよく見えません。 このびっちりさが、いいカモフラージュになっているんですね。私は新ビルの奥ゆかしさ加減が好きです。 建物の保存をめぐってはいろんな手法、見解があります。 何気ないものなんです。 でも、建物の歴史とかエピソードを知ると、「おっ!」って思ったり、急に建物が身近に感じられたりすることってありませんか? この文房堂のファサードも、震災と空襲というふたつの試練を生き延びて、今ここにあるんだと思うと、それだけで建築に人格みたいなものがふつふつと湧いてきて愛おしくなります。 正面のレリーフ。 建物には全てその建物が建ってきた時代、時間の長さだけの歴史があるから、建物を壊すことによってその歴史を分断してほしくないんですね。 たとえ、歴史的にみて負の遺産であっても、それはそれで、その価値があると思うんです。 この文房堂さん、ファサードだけでも歴史が分断されなかったことの重みは計り知れないと思います。 空間にはなりえない壁だけでも、伝えられるものは山ほどある。 歴史も街並みも紡いでいかなくちゃと思うんです。 所変わって銀座の交訽ビル。 こちらも壁面(一部)保存されました。 ライトアップされたところ。 こちらはさすがの風格ですな。
by awatanoriko
| 2008-06-16 18:35
| カタールライフ08~09
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